地衣類(月刊Kacce1月号 散歩ウオッチング)

普段通りの散歩の途中、眺めている景色の中で、見えているのに気付かないものは多々あると思います。主体的に見ようとしない限り、なかなか目に入らないもの。「地衣類」もそのひとつでしょうか。

成長した地衣類

樹木の幹や岩、コンクリートの表面などでよく見かける菌類と藻類の共生体で、菌類に属しています。地衣類の体を構成する菌類は、乾燥や紫外線から藻類を守りながら住み家を提供し、藻類が作る光合成産物を栄養として利用しています。

樹皮に着生したウメノキゴケ

地衣類は、コケ類とは体の組織が全く異なるにもかかわらず名前に「○○ゴケ」と付くものが多いため、コケと混同しがちです。公園などの樹木の幹でよく見かける「ウメノキゴケ」が、その良い例です。

共生というと自然豊富な所で生きているように感じますが、地衣類は極寒から熱帯まで、また海岸から高山まで分布を広げています。ただ、都市部では種も少なく、大気汚染や乾燥などのためか発育不良の個体なども見受けられます。

観察には10倍〜15倍程度のルーペが良く、なるべくレンズの口径が大きいサイズが明るいのでおすすめ。ルーペを目の近くに固定し、対象物にピントが合うまで顔を近付けるのが使い方の基本です。また、レンズが1つなので片目だけで見る方が多いのですが、望遠鏡と同じように両目を開けて見てください。目の負担が軽くなります。

ウメノキゴケ類がよく着く樹木はウメ、サクラ、ケヤキ、マツ、ナンキンハゼ、カシ類と身近なものなので、肉眼での観察散歩をお続けください。

森野かずみ

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