Kacce散歩ウォッチング(西洋科木)

※月刊Kacce2025年6月号(vol.497)掲載記事を再編集したものです。

入梅とは、本来は暦の上での梅雨入りの日のことですが、現在では気象庁が発表する「梅雨入り宣言」が出された日を指すのが一般的です。近年は気候の乱れで、後日発表となることも多いですが。「梅雨」の語源は、梅の実が熟す頃の雨だといわれますが、カビ(黴)が生えやすい季節のため「黴雨(つゆ)」と呼んだという説もあります。イメージ的には暗さを感じる季節ですが、雨に似合うアジサイやハナショウブの花盛りでもあります。傘下が暗くならない透明ビニール傘をさして雨の散歩などいかがでしょう。

練馬区の四季の香公園のブランコのすぐそばの「セイヨウシナノキ(西洋科木)」(アオイ科シナノキ属)が花を付ける頃です。別名はセイヨウボダイジュ、園芸名はリンデン。欧州〜西アジア原産のナツボダイジュとフユボダイジュの自然交雑種です。高木で15mくらいになりますが、公園の木は下枝が多いので、肉眼でも十分に観察できます。葉腋から長さ10㎝前後の集散花序に5個前後の花を付け、花色は淡黄色から徐々に色濃くなります。総苞葉は10㎝くらい。花はハーブティーに利用されます。

セイヨウシナノキ

公園などの植栽個体にはシナノキの名で外国産シナノキ類が植えられていることも多く、非常に似た樹木にナツボダイジュ、フユボダイジュ、アメリカシナノキ、ギンヨウボダイジュなどがあります。

雨の降りやすい季節ですが、上を向いて観察しますので足元にはご注意を。できるだけ晴れた日を選んで、猛暑一歩手前の散歩をお続けください。

森野かずみ

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