※この投稿は、月刊Kacce2025年5月号(vol.496)掲載記事の再編集です。
「卯の花の匂う垣根に〜」は、唱歌「夏は来ぬ」の歌詞の一部です。卯月は旧暦4月の異称で新暦の5月頃にあたり、卯の花の咲く時期。卯の花は落葉低木で、アジサイ科ウツギ属の「ウツギ(空木)」の別名です。枝が中空であることからこの名が生まれたとされています。葉は対生に出て、花弁は白色で5個、各部に星状毛があるのが特徴です。家の庭で見かける「バイカウツギ」は、同じアジサイ科のバイカウツギ属で、この季節に白い花を咲かせます。ウメの花に似ていることからその名が付きました。


公園などでウツギと名の付く低木は、他に「タニウツギ」(スイカズラ科タニウツギ属)をよく見かけます。枝先や上部の葉腋に桃紅色〜紅色の花を2〜3個付け、花冠は漏斗(ろうと)状でなだらかに広がり、花先は5裂。特に花の色が濃い系統の園芸品種の「ベニウツギ」は、観賞用に庭園や公園などに植栽されています。同じ仲間の「ハコネウツギ」は、花の付き方や形はタニウツギと同じですが、漏斗状の花筒が上半分で急に鐘状に広がります。また、花色が白色から次第に紅色へと変化します。初めから濃紅色の「ベニバナハコネウツギ」や白色が変化しない「シロバナハコネウツギ」もありますが、あまり見かけません。ハコネウツギは箱根の低地に自生することが確認されています。



最近の5月は日向を歩くと汗ばむようなことも多くなりました。服装などで調整しながら初夏の散歩をお続けください。
森野かずみ