※2025年5月号掲載当時のものです。内容が変更になっている場合があります。

最近、芸能人やスポーツ選手がオンラインカジノを利用し、賭博罪の容疑で事情聴取を受けたり、書類送検をされたりという報道を見ました。インターネット上では、オンラインカジノは「グレー」だとか「海外サイトなら罪にならない」といった情報も目にしますが、犯罪になるのでしょうか?

まず、刑法の「賭博罪」(刑法185条・186条)について解説します。
「賭博」とは、偶然の事情にかかっている結果に関し財産を賭ける行為なので、不確定な結果に対して財産を賭ける行為は広く「賭博」に該当します。ここでいう財産とは、現金に限らず、電子マネーや金券等の財産的価値のあるものを意味します。
スポーツの試合の結果や、スロットやルーレットの出目、トランプや麻雀での勝敗などに財産を賭ける行為を日本国内において行うと、全て賭博罪として処罰される可能性があります(競馬や競艇など法律で認められているものは除く)。
「日本国内において行う」とは、日本国内にいる者が賭博に参加することを意味します。オンラインカジノのサービス提供者が海外の配信業者であり、配信元の国では適法なサービスであったとしても、利用者が日本国内にいる場合には、賭博罪により処罰される可能性があるということです。
賭博罪の刑罰は50万円以下の罰金ですが、常習者は3年以下の懲役に処されます。
ご質問にあるように、インターネット上では「グレー」「海外サイトなら罪にならない」「日本には取り締まりの法律がない」といった文言を用いた広告が見受けられますが、それが「賭博」に当たる内容ならば、全て閲覧者をオンライン賭博に引き込むための虚偽広告です。
警察庁発表資料によると、日本在住者の約3.4%がオンラインカジノを利用した経験があり、20代に限ると約8.6%にものぼるとの調査結果が出ています。また、検挙者のうち約40%の人が「違法だと知らなかった」と弁解しているようです。
オンライン上の賭博行為は、“いつでもどこでも”、クレジットカードなどの利用により“いくらでも”賭けに参加できることが問題点として挙げられます。その入り口として、違法性の意識を持ちにくいという問題も看過できません。
軽い気持ちでオンライン賭博に参加して財産や社会的信用を失うことがないよう、甘い言葉には十分に気を付けてください。
オンライン賭博に「グレー」はない、全て「黒」だと肝に銘じておきましょう。

弁護士 大平 雄介(おおひらゆうすけ)
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