※この投稿は、月刊Kacce2019年6月号(vol.426)掲載記事の再編集です。
今月は11日が入梅、22日が夏至となります。梅雨が大きく影響している昆虫にセミがいます。
日本のセミ、アブラゼミやミンミンゼミが地中で過ごす期間は5年前後が多いようです。前年の夏に枯れ枝や樹皮に産み付けられた卵は冬を越し、翌年の梅雨の頃にふ化。
地面に落下すると、柔らかくなった土中に素早く潜り込みます。他の昆虫やモグラの餌になることもあるようですが、幼虫は地中で木の根っこの樹液を吸いながら成長し、数年後に地上に這い出します。セミの羽化は夕方から夜にかけて。その間の半透明の乳白色や翡翠(ひすい)色の姿は、自然界の神秘の色とも言われています。
夏至は1年のうちで昼が最も長く夜が短くなる日ですが、曇っている日が多く、日照時間が冬至の頃より少ないため、あまり暑さを感じることはありません。「梅雨寒(つゆざむ)」と言われる肌寒い日もあります。これは、地球の表面の温度が変化するのに約1か月の時間差があるためで、1番暑さを感じるのは立秋の頃になりますが、今後はそこにも温暖化の影響が現れてきそうです。
最近散歩をしていて感じるのは、街中の畑が減っていること。野菜の花は収穫時期を過ぎてから見られますが、以前は畑の隅で見られた花がずいぶん少なくなりました。そんな中で見かけたのが、キク科シュンギク属の春菊の花です。春菊は春に花を咲かせ、葉が菊に似ていることから付いた名前。日本では花のイメージはありませんが、欧米では観賞用の花として広まっているようです。
畑の隅っこも眺めながら散歩をお続けください。
森野かずみ